水の器: ピオフィオーレの晩鐘 ネタバレ感想&続編希望(3)楊 ピオフィオーレの晩鐘 ネタバレ感想&続編希望(3)楊 - 水の器

2018年9月18日火曜日

ピオフィオーレの晩鐘 ネタバレ感想&続編希望(3)楊

前回の続きです。今回は楊の感想です。
* * *

【楊】

中国人のしっとりした色気というか、艶がありますねー。普段の気怠げな様子も、口元にだけ薄笑いを浮かべた話し方も良いのですが、死闘を前にした時の笑い声が一番好き…。

組織のトップ達はお楽しみにとっておくつもりだったのですが。1人目のニコラルートをプレイしただけで、あまりにも老鼠の所業がひどいと感じたため、早々に楊を攻略しておくことにしました。このまま老鼠と楊への好感度が下がると、彼のルートを心から楽しめないかもと思ったので。

結果的に楊も好きになれたのですが、楊ルートに入る時点でエレナが最悪なことになるのが確定するので、BESTであっても自分の中で正史にはしたくない気持ちがあります。

全員をクリアした今になって思い返しても、彼のルートはマフィアに囚われたスリルが一番あって良かったですね。他組織は、マフィアに身柄を拘束される、といっても結構大事にされてますし。楊の側では「何気ない問いかけへの返答ひとつで死ぬかも…!」と常にヒヤヒヤしていました。

主人公をなんっとも思っていない、道具や玩具としてしか見ていない感じがすごかった楊。だから「これまでは欲しいとも思わなかった、今はじめて欲しいと思った」と言われた時は、「えっそうだったの!?」という少しのショックと、でも今は本気なんだ…!というドキドキが混ざって昂ぶりました。

そして意地でも体を許さなかった時の、楊の盛大なため息、好きです。(笑)

<BAD>

なんで「楊もこわかったの…?」なんて聞いてしまったんだ私。絶対そんなこと思ってないと知っていたのに。というか否定されること前提で質問したんですけど、ここで純粋な主人公を破滅のルートへ導いてしまいました。まさかこれがフラグだとは…。

最終章でロミジュリのくだりになった時、プレイヤーの私は主人公ともどもまんまと騙されていました。バルコニーのスチルの楊、格好よすぎません?”意外と教養のあるお遊びに興じるキャラなんだなぁ”とかほのぼの考えていた自分にあきれます。

主人公が死んでしまったので、スタッフロール後のアフターもないのかと思っていたら、ちゃんと楊の考えをのぞかせてくれました。おそらくBADになってしまった原因のヒント込みですね。主人公のこと、結構気に入ってたのかもしれんな、なんて思ってもすぐに忘れていってしまうんだろうなあ。ランとフェイのことは、これからも何度か思い出す気がしますけど。

<GOOD>

本気になってしまった主人公がみずから迫っても、まったく楊の心を動かすことのできない空しさよ。

エレナに「誰がリーをころしたの?」と聞かれた時からこの展開になることは分かっていたので、ずっと沈んだ気持ちでプレイしていたルートです。でもまさか楊が死ぬとは。

クリア直後は死別エンドに放心し、「これがGOOD…GOODでこれ…」という気持ちになっていましたが、落ち着いてくると腑に落ちました。先にBADを見ていたおかげですね。あの人は、確かに気持ちを向けてくれていた。お互いそう気づいたのに、もう二度と会えない…切ない…。

<BEST>

主人公が教会から帰ってきた時の安心ぶりが可愛いすぎます。楊の愛情表現って、不器用でいいですね。もちろん「女慣れしてないから」ではなくて。「人を愛し慣れてない」のが伝わってきます。たまに頭わしゃわしゃしてくれますけど、あれは幼少時だれか大人に与えられた数少ない愛情だったりするのかなあ。それか、親に撫でてもらっている子を見たことがあるとかかな。

対して主人公は博愛的な子ですけど、楊を好きになってしまったのは自分でも言っている通り「どうかしている」でしょうね。楊に抗いがたい魅力があるのは分かりますが、冷静に考えれば恐ろしすぎるし、恋するような相手じゃない。でも彼女も恋愛慣れしていないし、冷静でなんていられない出来事が起こりすぎているので、そんな気持ちになってしまうのもおかしくないです。

今はお互いの気持ちが重なっていますが、楊が誰かと長年連れ添うイメージがどうしてももてません(笑)主人公を「自分の退屈を紛らわす存在」だと言いますが、彼女が常に刺激的な何かを与え続けなければいずれは…。BESTルートなのにそんな不安がよぎってしまうのもまた、楊らしくて良いと思います。

主人公の最後のおねだりは最高に可愛い。楊の教えてくれた音も、最高に可愛い。

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次回はオルロックです。