【総評】
芯のある物語を幾重にも堪能でき、乙女ゲー部分も楽しめました。【物語部分】
いくつかの矛盾や疑問、ご都合展開を感じた部分はあります。けれど全体的にはハイレベルに筋が通った話だと感じました。マフィアの生き方、信仰のあり方、ブルローネと教国・イタリア政府の関係性。そして鍵の乙女。これらに一貫した設定を作り込んだ上で、各ルートでたくさんのifを見せてくれます。メインキャラからサブキャラまで、ルートによってはまったく異なる態度や行動をとりますが、それぞれの立場・考え方・性格が一貫しているため、「物語に合わせて無理に行動させられている」という印象はほとんど受けませんでした。また、BEST・GOOD・BADで最後のまるまる一章が別展開になるため読み応えがありました。キャラによってはBADかGOOD以上かで二章分ちがうことも!すごい!!
【乙女ゲーム部分】
どのキャラのどのルートでも、相手が主人公に惹かれる過程に無理はないと感じました。そもそもダンテとオルロックにとっての主人公は存在設定からして超特別なので、ちょっと特別視されすぎと感じてしまっても受け入れられます。反対に、ニコラと楊はかなり後半になるまで主人公に恋愛感情を持たないところがリアル。ギルはああいう性格ですから、少し駆け足で女性を好きになってもおかしくないでしょう。むしろ主人公の方が、マフィアを好きになるのが早いなという印象はありましたが。非日常に巻き込まれすぎて、少し感覚が麻痺してしまったのかもしれませんね。
キスもベッドインも不自然な展開はなく、<<<なぜか突然のエロ展開>>>みたいな置いてきぼり感もありませんでした。オルロックとは体の関係がないのも良かったです。
【システム部分】
共通ルートは(良い意味で)たった2日しかなく、2日目の後半でまったく違う各ルートへ分岐します。これがとても良かった。攻略制限があるため、各人をクリアするごとにプロローグにも変化がおこり、MSシステムも追加されます。何度も読み飛ばすだけ、という作業感がありませんでした。MSシステムについては、別キャラ視点を大量に読むことができるので内容には大満足です。一方、テキストを読み終わるタイミングで表示されるために誤って飛ばしてしまう→バックログからの巻き戻しが手間であること、既読スキップで止まらず進んでしまうことが残念でした。
また、MSシステムを含めゲームシステムについての説明がなさすぎます。「方向キーの上でMSシステム選択肢を表示する」というのは、説明書の「MSシステム」の項目に書いておいて欲しかったと思いました。(操作方法のページは情報量が多く、まだMSシステムも解説されていない段階であるため頭に入りにくい)
MSシステムを見るか見ないかで分岐することもありますし、おそらく未読のMSシステムもとばされてしまうので、もう少し融通のきくようなアプデがあると嬉しく思います。
ステータス画面の分かりにくさは擁護できません。説明書にもステータス画面の説明がありません。世界観と雰囲気を重視するあまり?ユーザビリティが大きく損なわれています。公式ブログでの説明を見なければ、花=好感度、画面のクリア度=その他パラメータとは分からないのではないでしょうか。
いずれかのエンディングを見れば、そのキャラのチャプタージャンプが使えるようになるので、これが救済措置にはなります。どのキャラも分岐が起こるひとつ前の章から始め、【好感度も他パラもhigh】でBEST、【好感度high他パラlow】でGOOD、【どちらもlow】でBADを見ることができました。
※これは私だけかもしれませんが、ニコラを最初に攻略していて、エンディングを見てもチャプタージャンプが解放されていないと思ってしまい少し苦労しました。
チャプタージャンプの初期表示が
【L COMMON ???? ???? ???? R】
になっており、Rを押さないとニコラが表示されません。
※オルロックはMSシステムを逐一見ているとBESTに行けないようです
※大団円ルートの自力攻略は無理でした。プロローグから分岐するのではなく、ギルルート内の中盤で分岐します
フォントは世界観にぴったりの映画のような字体で、とても雰囲気が出ていました。気になったのは、各ルートの章タイトルとエンディングに添えられる文章が、イタリア語や英語、ドイツ語?などで意味不明だったことです。ここも雰囲気重視ですね。楊の章タイトルは日本の漢字なので理解できました。こだわりは感じました。
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以下、攻略順にキャラ感想を。
と思いましたが、長くなったので分けます。