水の器: いけにえと雪のセツナ、プレイ後感想と考察(9)続々エンド・青年・キト・フィデス いけにえと雪のセツナ、プレイ後感想と考察(9)続々エンド・青年・キト・フィデス - 水の器

2016年3月21日月曜日

いけにえと雪のセツナ、プレイ後感想と考察(9)続々エンド・青年・キト・フィデス

いけにえと雪のセツナ、プレイ後感想と考察の第9回。エンドについての考察(もはや妄想)、続きです。割と収集がつかなくなってきていますが、妄想なりにそろそろ着地点を見つけたいところです。


前回の記事で、エンドもまた青年の魔力によって生み出された存在であるという考えにいたりました。この考えが、「キトの発言やナニハナでのイベントを考えるとエンドは人間」、「族長からもらった仮面族の証を持っている」という要素と共存できるかを考えてみます。

■そもそも魔力ってなんなの


雪世界の記憶によれば、「精神を具現化する根源的な力」です。おお、割と何でもアリな説明文だった。であるならば、かつて人間だった青年の精神から、人間と同等の存在が具現化してもおかしくありません。

■魔力から生まれた存在も、独立した個として生きられる


魔力で生み出された存在として、まずクオンについて考えてみましょう。クオンは「ユーテスが魔力で生み出した存在」と明言されています。「いけにえを最果ての地へ連れて行く」という目的を果たすために作られ、ナニハナで指摘された通り「人間ではない」存在でした。とはいえ、クオンはユーテスの操り人形というわけでもなさそうでしたし、自我はあったように思います。

とはいえ、魔力を使いすぎると一時的に実体を保てなくなり、本体のユーテスが消えるとクオンも消滅してしまいます。あくまでも「ユーテスの分身体」であり、「個」としては存在できない命でした。(仮に存在できる手段があったとしても、ユーテス/クオン自身がそれを望まなかったでしょうけれど。)

次に、魔物について考えてみます。クオンによると、「輪廻の闇=この世に魔物を生み出す元凶」ですから、「魔物は青年のふりまく魔力によって生み出されている」と考えてよいでしょう。ただ、魔物達は青年から意識の干渉を受けるものの、存在そのものが青年とリンクしているわけではなさそうです。青年を倒した後の世界でも、魔物は存在していましたから。(あの魔物が青年産という前提ですが。)また、カブタン少年などを考えてみても、魔物は魔物で個別に自我を持っていそうです。

それでは、フィデスはどうでしょうか。フィデスも「青年(の魔力)によって生み出された存在」と確定しています。ある目的を果たすために作られた点は、クオンと同じですね。見た目は人間ですが自分の意志を持たず、主の意志のままに動く人形のような生を受け入れていました。

しかし彼の肉体は一度滅び、ユーテスの魔力によって再生します。では、復活した後の彼は何者か。ユーテスの魔力によって再生したけれど、ユーテスが消滅しても生きています。青年の干渉を受けず、青年が倒された後も生きています。ですから、どちらかの「分身体」ではない。フィデス自身の意志がめばえ、「個」として存在できるようになっています。

そして、彼は魔物に襲われるアマツを自分の意志で助け、人間であるアマツと行動をともにすることを決めました。「どう生まれたか」でなく「どう生きるか」がその者の存在を決めるなら、フィデスは人間になれたのかもしれません。

・輪廻の闇になる前の青年は人間。
・魔力から生まれたものは「個」として存在できることがある。
・魔力から生まれたものが魔物になるとはかぎらない。

以上の点から、「エンドも青年の魔力によって生み出された人間」と考えてよいことにしました。私の中では!

■仮面族の証は青年の記憶?


エンドが青年の魔力で具現化したのなら、姿形や持ち物が青年の記憶にリンクしている可能性があります。クオンもそうでした。ユーテスの個人的な趣味が服装に活かされていると。フィデスもまさか自前で服や鎌を用意したわけではないでしょう。「いけにえを始末する」という憎しみの感情が、あの死神のような姿で具現化したと思われます。

輪廻の闇となった青年は、様々な感情を抱えていました。ほとんどが人間への怒りや破壊願望、そして寂しさ。そうした負の感情がまき散らされ、魔物が生まれました。しかし、人間が愛おしい、世界を守りたいという気持ちも残っていたのです。時折やさしい心を持った魔物が生まれるのは、このためかもしれません。

そして、心の奥底にあった「世界を滅ぼそうとしている自分を止めてほしい」という感情。これがエンドになったのではないでしょうか。現出したのは、1000年前に王都を訪れる前の、人間だった頃の自分の姿。エンドの仮面も剣も証も、仮面一族の傭兵だった青年の記憶が反映されたものかもしれません。

青年が仮面の一族だったのでは?と考えると、さらに楽しい想像が膨らみます。有数の法石産地だったゴルドテリア王国は、他国への抑止力となる高い軍事力を持たざるを得なかった。自国の騎士団が中心だったものの、他国の傭兵にも頼っていたのかもしれない。王都やオッカオッカ山、王家の遺跡で「壊れた仮面」が見つかるのは、王国時代に仮面一族の傭兵が多く集まっていたから。そして、青年も傭兵として王都を訪れた一人だった。などなど。(赤文字部分はゲーム内で示される事実です。)

そしてもう一つ。王都に遺る、仮面一族の痕跡にお気づきでしょうか。そう、「虹」です。エンドの武器です。「にじ」といえば、SFC版クロノトリガーの最強武器…なんですが、注目したいのは名前ではなく形状です。形状があきらかにおかしいです。

今作では多くの武器が手に入りますが、その形状は実にさまざま。色を変えただけ・装飾を変えただけといったものがないんですよね。刀のようだったり、稲妻のようなカタチだったり。それなのに、この「虹」だけが、エンドの初期武器「蛍雪」とほとんど同じ形状なのです。この形状の剣の特徴は、ふたつ。

・仮面の一族に製法が伝わる剣。
・一族の者が自ら鍛えあげるもので、その際に本人の魔力に感応させるので、鍛えた本人以外は装備できなくなる。

…エンドくん、「虹」を装備できるんですが…。

「虹」の本来の持ち主は人間だった頃の青年で、エンドが青年と全く同じ魔力をもつ存在だから装備できる…なんて展開だとしたら、熱いですね。TOAで言うところの完全同位体的な存在?あ、だから声も同じとか!?…そういうことにしておきます。


次回はエンドの「その後」について書きたいと思います。