水の器: In Other Waters クリア感想 In Other Waters クリア感想 - 水の器

2023年10月18日水曜日

In Other Waters クリア感想

In Other Waters(switch版)
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000036683.html

とても素敵なゲームだったので、オススメ文を書いておきたくなりました。

プレイヤーは、潜水スーツに搭載されているAI(人工知能)です。人間の質問に〇×で答えることはあっても、自分から言葉を発することはありません。基本的にはソナーで周辺を探知し、海中移動の操作を行うだけの存在です。


成り行きで(?)出会った海洋生物学者エラリー・ヴァスに協力し、彼女の探し人ミナエの痕跡を追うことになります。

ミナエはどこへ行ってしまったのか。異星の海でひとり何をしていたのか。この謎が、メインストーリーの軸です。とはいえゲームの大部分は黙々と海中を探索する時間であり、そこに住まう藻や花や菌類、それらを利用したり捕食したりする動物たちの生態調査こそがメインコンテンツであるとも言えます。

何度も海に潜って動植物のサンプルを採取し、エラリーが綴る生物の記録や考察を読んで楽しめるかどうかが、このゲームに向いているかどうかの鍵となるでしょう。
やや堅苦しい学術的なテキストに興味を惹かれない人にとっては、退屈なゲーム体験になってしまうかもしれません。


けれど、少しずつ紐解かれていく彼らの営みをおぼろげながらも理解し、スケッチされたその姿を想像で動かすことができたなら。点と線で描かれたシンプルなゲーム画面が、生命にあふれた景色へと変わっていくはずです。

地球ではない星、その海の中で。神秘に満ちた体験があなたを待っています。

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【ひとつだけ攻略メモ】
ミドリノアブクの発生源サンプルは、サイト2の壁を切った先にあります。
より具体的に言えば、画面が赤くなるマップの南側の穴を下へ下へと進んでいったところです。

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【クリア後感想】
ミナエが探していたもの。
ミナエの行きついた果て。
滅びゆく生物が護り遺した星の命。
単なるシステムにすぎないと思っていたプレイヤー「私」の真実。
始めはお互いを探りあっていた「私」とエラリーの不思議な友情。
ひとり、何度も深海に潜り続けるエラリーの情熱。
すべてが心に残るものでした。

ラストは、どう受け止めればいいのか…
(※この先ネタバレです※)



AIである私(プレイヤー)の目から見ると、エラリーが直したと言ったアンテナは直っておらず、彼女の決意と努力の結晶はエラーで送信できていません。

エラリーがつけている記録もバイカル社監視の下にあり(?たぶん)、個人プロトコルはすべて無効となっているので、アンテナが無事だったとしても信号やデータは何も送れていないのでは…という空恐ろしさを感じてしまいました。。

けれど、私には彼女に伝える術がないのです。
この美しい星は、人類から隠されたままなのではないか…と思いました。